NCリプレースで機械の使い勝手を継承しつつIoT化を推進。リモートサービスによりマシントラブルの早期解決も可能に
事例のポイント
- 従来機の使い勝手を継承すると共に、プログラム転送の利便性が向上
- リモート診断によって、マシントラブルの早期解決が可能に
- ダッシュボードによる10時間の業務改善と見積もり精度の向上
株式会社三髙製作所
三髙製作所では、主にプラスチック容器等の製造に使用される「押出成形金型」の製造を行なっている。
「顧客からの想いに応える」という目標を掲げる同社では、メーカからの多種多様な加工要求に柔軟に応え、業界内で大きな信頼を得てきた。
同社が誇る独自の工作機械は、多様な加工ニーズを実現するというメリットを有していたが、老朽化による故障などで稼働停止すると、“代替機が存在しない”という大きな不安を抱えていた。「これからもこの工作機械は使い続ける必要があるため、企業としての未来を考えるとNCリプレースによる使い勝手の継承、IoT化も必要と感じていた」と株式会社三髙製作所代表取締役専務の髙須賀孝博氏は語る。
同時に、創業時から在籍する技術者が高齢となり、若手技術者への「世代交代」という急務の課題が同社では浮上していた。
未来を見越して、若手社員が馴染みやすい機械へと変えていく必要も生じていたため、同社では豊田工機製FVN50Aの数値制御装置を三菱電機CNC「M80」にリプレースすることを決断した。
従来機の使い勝手を継承すると共に、プログラム転送の利便性が向上
「使い勝手を継承しつつ、IoT化を進めたい」という同社の想いに、三菱電機メカトロニクスエンジニアリング(以下、MMEG)は、NCリプレースだからこそ実現できる柔軟な対応で応えた。
その一つが、操作パネルへの”ホームポジション”機能の設置である。
幅広い加工依頼に応える同社では、加工中に機械を止めて微調整を行うことが多々ある。そのため、機械座標を記憶させるホームポジション機能は、同社にとってなくてはならない機能であった。
リプレース前の打合せの中で、同社におけるホームポジション機能の必要性を汲み取ったMMEGは、三菱電機CNC 「M80」の標準仕様にない同機能を操作盤に設置。作業者目線に立った特別なカスタマイズを行った。
また、今回NCリプレースしたFVN50Aは三菱電機CNC「M0」搭載時、PC上で作成した加工プログラムデータをRS232C通信のデータ入出力装置で転送を行っていたが、同社ではFTPサーバによるNCプログラム転送を実施していたこともあり、 FVN50Aにおいても、同様なプログラム管理を行いたいという要望を抱いていた。
今回、「M80」へリプレースしたことより、Ethernet通信によるPCへの直接続が可能になり、同社が希望していた高速通信での加工プログラムの入出力も叶えることができた。
大きな進化を見せたNC装置に対して、髙須賀氏は「現状の機種を“何とかそのまま使い続けるため”という気持ちで依頼したが、使い勝手を継承しつつプログラム転送の利便性が向上し、想像を超える仕上がりに正直とても驚いた」と大きな満足を感じている。
リモート診断によって、マシントラブルの早期解決が可能に
要望に応えるカスタマイズと新たな機能で同社に改善をもたらしたNCリプレース。さらに大きなメリットとして同社から評価されているのがリモートサービス「iQ Care Remote4Uのリモート診断機能(以下、リモート診断)」である。
髙須賀氏は「従来は機械系のトラブルが発生すると、機械メーカおよびMMEGに電話相談し、場合によってはカスタマーエンジニアの派遣を要請して現場に到着後、原因解明、トラブルの復旧対応という流れだったが、現在では、MMEGのコールセンターに電話すると、リモート診断機能によって、機械側の信号系統の不具合箇所を把握してもらえている」とリモート診断がもたらすトラブル対応の変化を説明する。
また、カスタマーエンジニアが現場訪問時も不具合箇所の特定がスムーズになり、すぐに処置を開始することができるので、修理時間そのものが大きく短縮され、導入以降、機械の停止時間は大きく減少している。
あわせて、リモート診断によるデータ共有によって情報の伝達量も格段に飛躍した。
髙須賀氏は「特に頻繁に出ないような珍しいエラーコードが出た際、従来はそのコードを口頭で伝えることしかできなかった。現在は、表示されているエラーコード以外にも、エラーの累積や発生状況まで細かなデータをリモート診断でコールセンター員が確認できるので、複雑なトラブルでも素早い解決が可能となった。」と語る。
同時にリモート診断には作業者への心理的な効果もあったと髙須賀氏は考えている。「従来はエラーの発生時に機械側のトラブルなのか、NC装置側のトラブルなのか判断ができず、対応を依頼することに作業員が抵抗を感じていた。特に機械側のメーカーに対しては、独自の改造をしていることもあって、説明に大きく時間が取られるので連絡することに躊躇があった」と振り返る。
リモート診断が導入されたことによって、「今では遠隔で的確な一次診断をしてくれるので、“MMEGに聞ける”という安心感を作業員は持っている。トラブル発生時に連絡を迷う時間が無くなったと感じる」と髙須賀氏はその効果を説明する。作業員の診断依頼への心理的なハードルを下げることで、トラブル対応への初動を速くすることに成功したのである。
ダッシュボードによる10時間の業務改善と見積もり精度の向上
iQ Care Remote4Uは診断以外にも機械の稼働情報・加工予測・予防保全などをパソコン、スマートフォン、タブレット上から確認できる「ダッシュボード機能(以下、ダッシュボード)」を搭載している。
三髙製作所は1階の作業現場と2~3階の事務所が離れているため、稼働状況を確認するためにフロアを行き来する必要があった。そして同時に、作業終了やトラブル発生に気づきにくいという問題も抱えていた。
「稼働を遠隔からも確認できるダッシュボードにより、工場内の移動時間を著しく減らすことはもちろん、加工の停止時間も減らすことができ、並行して行っていたプログラミング作業や事務作業の効率も上がった」と髙須賀氏はその効果を語る。
また、ダッシュボードは経営面においても大きなメリットを生み出している。それが見積もりへの活用である。従来、同社では顧客との商談の際、従業員に加工時間をヒアリングし見積もりを作成していた。
ダッシュボードは、ボタン一つで蓄積された過去のデータから稼働時間の正確な数字を抽出することが可能であるため、今まで以上に高精度な見積もりを手間なく作成できる。髙須賀氏は「高精度な見積もりは企業としての利益を守ると共に、正確な数字の見積もりを提出できるということはそれ自体に“エビデンスとしての価値”が創出される。つまりダッシュボードは取引先との信頼関係の構築にも大きく貢献している」と見積もりの改善がもたらす効果を考えている。
確かな実績で安心と信頼を。MMEGとの関係はこれからも続く。
「MMEGとは創業初期からの付き合いでこれまでも信頼感を持っていたが、今回のNCリプレースでの提案とその完成度で一層信頼を高めた」と髙須賀氏。同時にこれらの的確な提案は強い信頼から生まれていると考えている。「担当のカスタマーエンジニアが、作業内容はもちろん工場の状態まで深く把握してくれているからこそ、本当に必要な提案をしてくれる。普段のトラブル対応なども、1から説明せずとも対応してくれるのでとても助かる」と語る。
「今後も設備改善を考えている。今回のNCリプレースに大いに満足しているので、MMEGと連携してリプレース、IoT化を進めていきたい。」と髙須賀氏は、MMEGに強い信頼を寄せている。
- 企業情報:
株式会社三髙製作所
〒571-0017 大阪府門真市四宮6丁目1−1
- 事業内容:
各種プラスチック押出金型および金型部品製作、各種開発商品試作
- URL:
2022年3月掲載
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