鉄鋼加工における九州地域の"雄"として信頼をベースに 展開する事業を三菱電機のリモートサービスが支える
事例のポイント
- レーザ加工と仕分けの自動化で、生産性に加え安全性も向上
- 仕分け結果をリモートサービスで確認し、作業指示に活用
- 夜間の稼動運転をカメラで録画することにより、改善活動に展開
豊鋼材工業株式会社
福岡県篠栗町に本社を構え、九州一円に営業所を展開する豊鋼材工業株式会社は、鉄鋼の加工を事業の中心に据える会社である。納期と品質の追求から生まれた実績が育む信頼により、福岡、ひいては九州全域で一目置かれる存在となっており、同社のさらなる事業拡大に、三菱電機の設備とサービスが貢献している。
豊鋼材工業株式会社の創業は1958年。それから60年以上にわたり、鉄の加工を柱として、九州(沖縄、山口)を主要エリアに事業を展開してきた。顧客企業が九州以外で仕事を受注すれば、同社が加工した鉄はその地域でお目にかかる場合もある。近年では、東京・新国立競技場の屋根の鉄骨は同社が加工したものが採用されている。
本社は博多市内から鉄道でも自動車でも20分程度の篠栗町にあり、同地には福岡工場を併設。ここを拠点に、同じ福岡の臨海部には苅田工場、さらに長崎、鹿児島にも工場を有し、九州各地に支店や営業所を配置して、地域の多様な鉄鋼需要に応えている。
「当社で加工する鉄鋼製品の販売先は50%がビル等の建築関連で、残り50%が建設機械、橋梁、産業プラント、そして自動車関連です。鉄は“産業の米”といわれるように、実にいろいろなところで使われており、当社としても多様な分野で望まれるニーズに、納期と品質をしっかりコミットして仕事ができています」と13代目社長の牧内英樹氏は語る。
レーザ加工と仕分けの自動化で、生産性に加え安全性も向上
牧内社長が語る「納期と品質へのコミット」を支えるのは、第一に「心からお客様の信頼を得る企業を目指します」という経営理念に基づく会社の姿勢であり、次に高品質製品の効率生産を可能とする設備と、それを支えるIoTの力だ。
生産設備については2021年7月、福岡工場に三菱電機製の二次元ファイバレーザ加工機「ML4020GX-F60」(以下、「GX-F60」)と自動仕分けシステム「ASTES4」をセットで導入した。高い品質のレーザ切断を実現する加工機によりお客様の厳しい要求に応えられるのはもちろんのこと、材料投入から加工した製品の仕分けまでを自動化する「ASTES4」も採用することで、「GX-F60」のポテンシャルを最大限発揮し、高い生産性を実現している。
福岡工場長で、2022年9月から苅田工場の鋼板二課長も兼務する駒谷勝也氏は、GX-F60とASTES4の導入選定から関わった。同社ではそれまでレーザ加工機はCO2レーザ加工機のみだったが、「世の中でファイバレーザ加工機の実績が増え十分な信頼性が確立できていると判断し導入を検討することになりました。その際、加工した製品を毎朝、人力で仕分けしていた状況を解消したいと考え、自動仕分けシステムにも着目しました」と振り返る。当初は効率化・省人化と作業者の負担軽減が目的であった。しかし実際に使い始めてからは、加工前後の人力による重量物の移動がなくなり、社員の安全性向上に大きく貢献している。
仕分け結果をリモートサービスで確認し、作業指示に活用
駒谷工場長は、「GX-F60」と「ASTES4」の組み合わせにより実現した自動化の一連の工程や稼働状況を、三菱電機が提供するリモートサービス「iQ Care Remote4U」(以下、「Remote4U」)を使って逐次把握している。通常は事務所のPCでダッシュボード機能(以下、ダッシュボード)の画面を確認し、時には社外からスマートフォンにてチェック。実際に画面を表示し、普段どのように利用しているのか説明してくれた。
「ダッシュボードのスケジュール画面では、『ASTES4』の仕分け作業で切断されたパーツのうち、仕分けできた個数(OK個数)とできなかった個数(NG個数)を確認しています。NG個数が発生した場合は現場に確認を指示し、プログラムの修正や加工スケジュールの変更、使用ツールの変更など、改善策を進めています。従来は現場に行かないとNG個数も分からなかったのですが、このようにスケジュール画面から確認できることで事務所から速やかに指示することができるようになりました。更に、改善策によってNG個数が減少していく成果も数値で確認でき、これが、現場のモチベーション向上にもつながっています。」
夜間の稼動運転をカメラで録画することにより、改善活動に展開
「ASTES4」を活用して24時間生産を行っているが、夜間は完全自動運転となるため、「Remote4U」が伝える情報のチェックは重要だ。何か不具合が発生した際のアラーム情報はダッシュボードで確認することが出来る。そして、その不具合がどのような事象によって発生したのかなど、詳細な内容は「ASTES4標準装備のカメラ」で録画された映像を、事象が発生した時刻まで巻き戻して確認することで明確になる。アラームの発生要因は加工形状や、加工サイズ、板厚などさまざまな要因が考えられるが、録画映像を確認することで、適切、且つ速やかな改善に繋げることができ、安定した稼働を実現できている。
「Remote4U」はまだ活用をスタートしたところ。現状は稼働状況チェックが主な目的で、データを基にグラフ化し、エラー停止時の内容をまとめたりしているとのことだ。今後について駒谷工場長は「電力やガスの消費を分析し、出力されるCSVデータも活用して、より詳細なコスト削減などの改善活動にも取り組んでいきたい」と期待を示す。
リモート診断によるサービス対応でトラブル解決までの時間を短縮
運用保守をサポートする三菱電機メカトロニクスエンジニアリング(以下、MMEG)のサービスについては「リモート診断によって、トラブルが起きても電話をした時点でMMEG側が状況をすぐに把握できるため、説明の必要がなく、解決までの時間が短縮されて本当に助かっています」と駒谷工場長。加工機と自動化システム、そしてサービスの合わせ技をこれからも深化させ、納期・品質と作業環境向上をさらに追求していきたいと語った。
- 企業情報:
豊鋼材工業株式会社
〒811-2413 福岡県粕屋郡篠栗町大字尾仲572
- 事業内容:
鉄鋼及びその他金属の加工、販売
鉄鋼及びその他金属の二次加工、販売
- URL:
写真・松隈直樹
2023年1月掲載
お問い合わせ(レーザ加工機)
東日本コールセンター
TEL:048-710-4397
FAX:048-710-4398
本社コールセンター
TEL:052-719-7980
FAX:052-719-7956
西日本コールセンター
TEL:06-6489-0471
FAX:06-4868-4655
関連商品・サービス
IoT技術を活かし、生産性向上をサポートするリモートサービス
計画的な点検と消耗部品の予防交換で、最適なメンテナンスプランを提案します。