数値制御装置(CNC)
三菱日立ホームエレベーター株式会社

既存機械のオーバーホールによって低コストでパフォーマンスを向上!操作性のカスタマイズが作業効率を高める鍵に

事例のポイント

  • 使い慣れた操作性を保ちながらも、パフォーマンスを向上
  • 低コストで高い稼働率を実現!ランニングコストの改善にもつながる
  • NC操作パネルをさらに扱いやすくカスタマイズ
三菱日立ホームエレベーター株式会社

三菱日立ホームエレベーター株式会社

三菱日立ホームエレベーター株式会社は、個人住宅用のホームエレベーターを中心に、福祉施設などで使用される小型エレベーター、アパートやマンションに最適な共同住宅用エレベーターを3本の柱として、開発・製造・販売そして据付までを一貫して提供し、国内だけでなく海外49カ国に出荷している。

エレベーターの心臓部ともいえる駆動装置の製造現場では、三菱重工製マシニングセンタ複数台が稼働し、その内3台は1つのストッカシステムを共有して、多品種少量生産に対応できるフレキシブルな自動化ラインを構成している。これらのマシニングセンタは、1992年から1997年に導入されたもので老朽化が進行しており、加工精度の低下が課題となっていた。
そこで今回、当該設備の特性ならびに投資効果(コスト)の双方を考慮し、新規設備の導入ではなく現行設備の有効活用を選択。設備購入時と同等のパフォーマンスを得るため、2012年に1台目の機械オーバーホール(以下、機械OH)を三菱電機メカトロニクスエンジニアリング(以下MMEG)に依頼した。

本社工場長の菊池 正法氏
本社工場長の菊池 正法氏
エレベーター展示エリア
エレベーター展示エリア
3台のマシニングセンタ
3台のマシニングセンタ
マシニングセンタと連携したストッカシステム
マシニングセンタと連携したストッカシステム

機械オーバーホールの効果①
使い慣れた操作性を保ちながらも、パフォーマンスを向上

既存の設備を部品単位まで分解し、消耗した部品の交換や各パーツの洗浄をおこない、機械の精度更生を図る「機械OH」。当時生産された工作機械の摺動部は鋳物で構成されていることが多く、高い剛性を有している。そのため機械OHを施すことで、加工精度を購入時と同等までに復元するだけでなく、その精度を長期間持続させることが可能だ。また、エレベーターの駆動装置の加工では、1ミクロン単位のズレでもエレベーターの振動や音などの影響につながるため、高精度加工が求められている。現状の機械を用いて安定的且つ高精度の製品を生産し続けるためにも、機械OHは必要不可欠であった。

現場の社員が最大限のパフォーマンスを発揮できるのが使い慣れている現在の機械だと考えており、とりわけ操作性を重要視していることが窺える。菊池氏は「新規の機械に買い替えてしまうと、数値制御装置(CNC)も替えることになる。そうなると作業員は操作を習得し直さなくてはならなくなり、慣れるまでに時間がかかる。その分作業効率は低下し、操作ミスをするリスクも高くなる」と、新規設備の導入に対する懸念点を挙げる。一方「既存設備の機械OHを選択することで、全体的なスペックを向上させながらも、機械OH前と変わらない操作性を実現できる。その点こそが機械OHの大きな利点。使い慣れたものの方が作業しやすく、機械OH後の立ち上がりも早い」と、作業者の目線でそのメリットを語る。

また、同社で取り扱っている機械は、単に社員が操作に慣れているというだけでなく、思い入れもある。製造部の羽田野 隆征氏は「入社以来、長年使い続けてきた機械なので、愛着がある。その機械が機械OHによってリフレッシュされて帰ってきたことが嬉しかった」と、現場で機械に触れてきたからこその思いを語る。

機械オーバーホールのBefore/After
機械オーバーホールのBefore/After
使い慣れた操作性を維持
使い慣れた操作性を維持
機械の加工精度は向上
機械の加工精度は向上

機械オーバーホールの効果②
低コストで高い稼働率を実現!ランニングコストの改善にもつながる

機械OHを利用することのもう一つのメリットは、新規の機械に買い替えるよりもコストがリーズナブルであることだ。菊池氏は「既存の機械をオーバーホールしたものと同等のスペックを持つ新規設備の価格は約2倍になる。操作性も変わらず、投資コストも抑えられるため、作業者視点だけでなく会社視点でも機械OHの方が、利点が大きいと判断した」と語る。

機械OHに必要な期間は約6カ月。機械を修理工場へ引き取ってしまうため、機械OH中は作業が停止してしまうが、同社では同じ加工機能を有するマニシングセンタを3台擁しており、1台ずつ順番に機械OHすることで製造ラインを止める必要がなくなる。また、同じスペックの新規機械を導入するとしても、近年は安全面から機械全体(本体)が、安全柵やカバーで覆われていることが多く、元の位置に収まらないことがある。その場合新たな設置スペースを確保する必要があり、生産現場の機械配置そのものが変わってしまう。別途スペースを用意する必要がなく、既存機械の配置変更がない点も機械OHのメリットである。

さらに、機械OHしたことで稼働率が高まり、生産ラインのバランスが良くなったという。従来は保持できる工具の数が機械ごとに異なっており、改修前の時点では2号機と3号機は100本以上保持できていたが、1号機は60本しか工具を収納できなかった。そのため機械によって作業効率に大きな差が生じており、スケジュール調整が難しくなっていた。そこで1号機の工具マガジンを120本収納できるものに変更し、現在ではどの機械でも安定した効率性を発揮できるようになった。菊池氏曰く「以前は、1号機はA、2号機はB、3号機はCの工程しか対応できなかったが、現在は1~3号機のいずれもA・B・Cの工程をこなすことができるようになった。これにより効率良く生産スケジュールが組めるようになり、稼働率向上につながった」と語る。また工程上のロスが減少したことで、ランニングコストの改善にもつながっている。

120本もの工具を収納できるマガジンを追加
120本もの工具を収納できるマガジンを追加

機械オーバーホールの効果③
NC操作パネルをさらに扱いやすくカスタマイズ

既存設備にこだわりを見せる同社だが、機械OHに合わせてNC操作パネルも更新した。その理由について製造部の羽田野氏は「既設仕様をベースにカスタマイズできると聞き、馴染みのある操作を維持しながらも、一部の作業工程を改善できることに魅力を感じたから」と語る。

それまで1つのプログラムを起動するために、複数の入力作業をする必要があり、操作が煩わしかった。そこで専用のボタンを新たに配置し、入力が煩雑だったプログラムをそのボタンを1回押すだけで起動できるようにした。また、頻繁に使用するボタンを入力しやすい場所へ配置替えしたいなど、作業者目線で気になっていたことは些細なことでも全て改善できないか、MMEG担当者へ伝えたと言う。羽田野氏は「基本操作を変えずに、使い勝手の悪い入力作業だけを一箇所に集約したことで、ストレスなく快適に作業を行えるようになった」と、NC操作パネルの更新について語る。

また、機械においては摺動面も重要で、摺動面に粉塵が付着すると摩耗が進行するため、精度を低下させる恐れがある。それまではテレスコカバーにゴム製のワイパーを装着し対応していたが粉塵が付着し摩耗が進んでいたため、より効果的な対策として、粉塵除去を目的にシャワー機能を追加。その結果ワイパーが痛まなくなり摺動面に粉塵が落ちることがなくなった。このカスタマイズについて羽田野氏は「このような改修をするだけでも、機械の寿命が大きく伸びるのでとても助かった」と語る。

NC操作パネルのカスタマイズ
NC操作パネルのカスタマイズ
粉塵を流すためのシャワー機能を追加
粉塵を流すためのシャワー機能を追加

機械オーバーホールで感じたMMEGへの安心と期待

機械OH中のMMEGの対応について、菊池氏は「修理工場へ出向いて機械の状況を確認させてもらえた。完成後の試運転や加工調整では、オペレーターと二人三脚で機械を調整することも多く、手厚く対応してくれたことが印象に残っている」と語る。また、MMEGの機械OH施工によって、機械系と電気系のアフターサービス窓口がMMEGに集約。「機械や電気についての相談ごとや確認事項が生じた際にスムーズに問い合わせることができるようになった。窓口のMMEGサービスネットワークやコールセンターもつながりやすく、トラブルが起きても迅速かつ柔軟に対応してもらえるのは心強い」と菊池氏は語る。

アフターサービスの対応については「最初に機械OHを依頼してから10年以上経つ現在も、未だに些細な内容でも相談に乗ってくれるのは本当にありがたい。特に生産に影響を及ぼす可能性がある場合は、施工時の担当者がすぐに駆けつけて、不具合の内容を判断し、早急に対策処置を施してもらえるため生産管理の面で非常に助かっている。こちらの要望を聞き入れてくれるだけでなく、MMEG側からも効果的な提案をしてもらえるので、誠心誠意対応してくれるという安心感がある」と語る。

菊池氏は「SDGsなど、社会的な環境課題への貢献が企業に求められているため、設備更新の際に、現有の機械設備を再利用するという考えは今の時代にマッチしている」と語り、同社でも既存の設備を活用しながらIoT技術など最新のテクノロジーを取り入れることで、コストの削減や環境課題への対策に取り組むことを検討している。「今後は稼働率の見える化など、生産ラインのみにとどまらず生産現場全体が抱えている課題解決に向けて、ご協力いただきたい」とMMEGへの期待を語る。

「MMEGの力をお借りしながら、お客様の声に応えていきたい」と、MMEGへの期待と今後の展望を語る。
「MMEGの力をお借りしながら、お客様の声に応えていきたい」と、MMEGへの期待と今後の展望を語る。

機械オーバーホールの流れ

機械オーバーホールの流れ
企業情報:

三菱日立ホームエレベーター株式会社
〒501-3772 岐阜県美濃市楓台38(美濃テクノパーク)

事業内容:

ホームエレベーターの開発・製造・販売・据付

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2023年12月掲載

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