使い慣れた機械の復元と高速加工による生産性向上。定期メンテンスによる安定稼働を実現!
事例のポイント
- 予算を抑えつつ使い慣れた加工機の性能を復元する「個別注文復元リニューアル」
- 加工速度向上で高い生産性向上を実現する「高速ワイヤ」
- 定期メンテナンスで、安定稼働に貢献する「サポート契約」
株式会社ブローチ研削工業所
ワイヤ放電や形彫放電、板金レーザ等の加工機をその黎明期から導入し、現在では各種放電加工機を計50台以上も保有する株式会社ブローチ研削工業所。全国でも有数の放電加工機設備台数を活かし、短納期・多数個の金型・部品加工ニーズに応えているだけでなく、ワイヤ放電加工において、今回ご紹介の高さ(Z軸)600mmの他に800mmまでの大型加工にも対応できる精密加工のパイオニア企業だ。
しかし数年前から、大型ワークの加工ができる三菱電機製ワイヤ放電加工機FA30Vが不調をきたし、三菱電機メカトロニクスエンジニアリング(以下、MMEG)へオーバーホールを相談。費用を抑えながら確かな性能を復元するサービス「個別注文復元リニューアル」を利用して、かつての加工能力と安定性を取り戻した。
予算を抑えつつ使い慣れた加工機の性能を復元する「個別注文復元リニューアル」
代表取締役社長の小粥 隆太郎氏は日頃から生産現場へ足を運び、機械の状態にも気を配っている。設備投資は社長主導で進められ、新製品やリニューアル機の情報にも敏感で、スピード感をもって導入している。過去にMMEGから3台のリニューアル機を購入した実績があり、長いものでは導入後10年以上も順調に稼働している。
一方で、経年劣化により数年前から不調を感じていたのが三菱電機製ワイヤ放電加工機FA30V(2005年導入)。高さ(Z軸)600mmまでの加工ができる貴重な機械だったが、高さ(Z軸)が420mmを超えると加工時に加工槽から水漏れが発生。また、ワイヤ自動結線の不調により、人がいない夜間に通しで稼働させる多数個加工への使用を断念していた。「単品加工などにしか使用できず、修理にも長期間の停止が必要とのことで一時は廃棄も考えていました」と振り返る。
とはいえ、「新品購入は高額で、簡単には踏み切れない」と考え、FA30VのオーバーホールをMMEGのカスタマーエンジニアに相談した。MMEGのリニューアル機を過去に購入し、中古を新品のように復元させる技術力を実感していたからこその着想だ。詳細な点検の上、希望の予算と照らし合わせ、MMEGが最終的に提案したのは復元箇所を絞り込み、予算内で最も良い状態に整備する「個別注文復元リニューアル」だった。
FA30Vは個別注文復元リニューアルを実施後、問題なく高さ(Z軸)600mmまでの加工能力が復活。大型のダイカスト金型の加工も再びできるようになった。リニューアル後は「ほぼフル稼働ですが約半年を経っても安定稼働しており、再び主力機になった」という。他社ではできない大型製品を短期で納めるという要望にも、現場への負荷を以前より軽減しながら応えられるようになった。
そして厚物加工でのワイヤ自動結線も復活したことで多数個加工が可能となり、再び夜間や週末の生産が可能に。これにより、FA30Vの一カ月あたりの稼働時間は100時間ほどから200時間以上に倍増したという。復元リニューアルしたFA30Vの横では、同じく高さ(Z軸)600mmまでの加工ができるFA30V Advanceが快調に稼働している。「これも貴重な機械です。いずれは個別注文復元リニューアルを依頼したい」と小粥氏は考えている。
加工速度向上で生産性向上を実現する「高速ワイヤ」
3年ほど前のこと。当時、FA30V Advanceを担当し400mmから500mm程度の厚板加工をしていたワイヤーカット加工部の前田 紘享氏は、品質や業務の改善を意識し、新しい機械や消耗品の情報に対して常にアンテナを張っていた。ある日、MMEGのサイトで高速ワイヤを見つけ、試してみたいとすぐに購入、実際に使用した印象は「興味本位で使ってみたら想像以上に速く、加工時間も短縮された」という。特に、板厚200mmほどの加工で大幅な高速化を感じたそうだ。
専用条件で加工速度が約30%向上し、加工時間も短縮される高速ワイヤだが、前田氏は「加工方法を工夫することで、私は2倍※1くらいの速さを実感しています」という。異なる製品を短時間で入れ替えながら加工するよりも、同じ製品をいくつも連続して加工する業務で、さらに大きな効果が得られるとも。「個々の短縮時間はわずかであってもそれが積み重なり、後々トータルでは大きな差が出てくる。そのため、1つの製品にかける時間を少しでも短縮することが重要で、加工品によって使い分けています」と語る。
※1 お客様の感想であり、速度を保証するものではありません
加工時間を短縮することで、工場全体の作業スケジュールにも良い影響を与えるそうだ。例えば、通常のワイヤ放電加工機であれば朝から加工し21時までかかれば、その日の作業はそこまでだが、高速ワイヤで18時頃に終えられれば、機械に次の加工品をセットする時間が生まれる。それを夜間に自動で稼働させておければ、次の朝までに業務をひとつ終わらせることができ、生産サイクルが早くなり、納期の前倒しも可能だ。これは同社にとって働き方改革や残業抑制に取り組む上でも大変有効であり、小粥氏も「昨今の人手不足などにも絡み、機械の無人運転時間をどれだけ増やせるかは、当社にとって生命線だと考えています」という。
定期メンテナンスで、安定稼働に貢献する「サポート契約」
個別注文復元リニューアルと共に「サポート契約」に加入。「加工機が止まれば、契約加入費用を上回る損失が出るため、定期的に丁寧な診断・メンテナンスを受ける安心感は大きい。消耗部品の交換時期なども具体的な説明と提案があり助かっている」と小粥氏は定期メンテナンスの必要性を語る。
MMEGへの信頼が高まった、こんな出来事もあった。製造工程に制約の厳しい航空部品などを加工する機械が故障した際、部品を迅速に取り寄せられたため納期に間に合ったという。これは、生産終了※2した機械の部品も自社パーツセンターで継続的にストックしているMMEGだからこそ可能なことだ。
※2 生産終了部品の供給は在庫状況によります
今後も最先端の大型加工に取り組み、放電加工・研削加工を軸に精密加工の最高峰を目指すには、「他社にはできないことができる」のが重要だと小粥氏はいう。「MMEGには新しい製品や技術について、これからもいち早く情報を共有いただきながら高いレベルで意見を交わし合い、さらに良い成果を目指していける関係であり続けたい」と語った。
- 企業情報:
株式会社ブローチ研削工業所
〒433-8102 浜松市中央区大原町418-1
- 創業年:
昭和47年5月1日
- 事業内容:
ワイヤ・形彫・細穴の放電加工、研削加工、レーザ加工、ブローチ再研磨加工
- URL:
2025年12月掲載
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お客様保有の機械を事前に診断・点検し、お客様と協議の上、交換部品・修復内容を決定。機械を引き上げ、オーバーホール実施。
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